結城紬

結城紬について

世代を超えて人と人を結ぶ
時代の変化の中でも古びない
素材の力が生きている上質な布

日本の絹織物の原点を今に伝える布

鬼怒川

結城紬をはぐくむ結城の地は、関東平野の中央・筑波山の裾野を流れる鬼怒川沿いの肥沃な土地で、古くから養蚕が盛んな織物の産地です。
結城紬の歴史は「延喜式(えんぎしき)」「常陸風土記(ひたちふどき)」に記されている“長播部絁(ながはたべのあしぎぬ)”まで遡ることができます。
朝貢として朝廷に上納されていた絁とは、手で紡ぎだした太糸の絹織物(=あしき絹)であり、現在も日本各地に残る、さまざまな紬織物の原形とされています。その古代からの作り方を未だにとどめているのが、この結城紬なのです。

歴史年表

古語拾遺
古語拾遺 古語拾遺
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前86崇神天皇12年
多弖命(たてのみこと)が久慈国に遷り機殿を造立して絹織物を織る。
これが、絁(あしぎぬ)で後世長幡部の絁と伝えられる、結城紬の原型が織られる。
714和銅7年
奈良時代、常陸国から朝廷へ上納された絁の記録があり、
その布は今も奈良の正倉院に保存されている。
808大同2年
「古語拾遺(こごしゅうい)」の中に、麻・穀木【楮や木綿(ゆう)の木】など
当時の衣料資源の豊穣の地として、結城の名の起源がみられる。
1332元弘2年
「庭訓往来(ていきんおうらい)」の中に諸国名産の一つとして
「常陸紬(ひたちつむぎ)」の名がある。
1601慶長6年
結城家十六代秀康公が越前福井に移封された後、結城の地を治めた
初代代官伊奈備前守忠次は、染色の縞の技術を導入するなど「結城紬」の復興に努める。
1636寛永15年
「毛吹草(けふきぐさ)」の中に、7産地10種類の紬が諸国の名産として取り上げられており、
この中に結城紬の名称も出ている。
1713正徳3年
江戸時代の百科事典「和漢三才図絵」に最上品の紬として取り上げられる。
1866慶応2年
大塚いさ、須藤うたの両者によってはじめて絣文様が織られる。
1887明治20年
布巾(一巾)に30通りの亀甲文絣が織られる。
1956昭和31年
本場結城紬の製造工程「糸つむぎ・絣くくり・地機織り」が国の重要無形文化財に指定される。
1977昭和52年
「結城紬」が伝統的工芸品に指定される。
2010平成22年
「結城紬」がユネスコ無形文化遺産として登録される。

製作工程

結城紬は製作工程がユネスコ無形文化遺産に登録されている本場結城紬と、その流れを汲みながらより身近に着られる石下(いしげ)結城紬、主にこの二種類を扱っています。
それぞれ40工程以上ある製織工程のなかから、代表的なものをご紹介します。

結城紬 育てる 色無地
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